過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。
「3ヵ月前に戻れたらどうする?」
私は社員によくこう質問します。
「3ヵ月前に戻れたらどうする?」
つまり、失敗した仕事を始めた段階に戻ったとしたら、こんどはどうやってその仕事に取り組むのかと聞いているわけです。
ところが、ほとんどの社員が返答できません。それでは、何度やっても失敗します。
おそらく、日本のビジネスパーソンのほとんどが当社の社員と同じだと思います。
そういう人は、何度チャンスが訪れても失敗します。
人生で何回バッターボックスに立てるか
実際には、それほどチャンスはないのが実情です。
みんなが期待してくれて、テーマがあり、課題があり、仲間がいて、いいコンディションでバットが振れる機会は、一生のうち何度もあるわけではありません。
その機会を与えられているのに、それを生かさないのはもったいないと思うのです。
しかし、内省もせず「3ヵ月前に戻れたら」の答えを出せなければ、この人に次の機会を与えても同じ失敗を繰り返すだろうと判断せざるを得ません。
失敗した。信頼されなくなってしまう。信用も上がらない。自信もなくなる。
そんな窮地に陥っているにもかかわらず、振り返りをしていない。
この人は、これからどのようにして仕事をしていくのだろうかと心配になってしまいます。
本来は「私はこのような原因で失敗しましたが、もう一度チャンスをいただければ、こんどはこのようにやって成功させてみせます」という分析と対策、強い意気込みを見せるべきです。
それができないのは、なぜ失敗したかわかっていないからかもしれません。
すでにお話ししたように、失敗する前提で対策を立てていないからです。
失敗に対する経験値が増えていないから、いつまでも失敗に対処できないのです。
(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)