ステルスリストラ#4Photo by Satoru Okada,PIXTA

 大企業の「追い出し部屋」問題を厳しく追及してきた朝日新聞。ところが自社の販売部数の減少と多額の赤字計上により、シニア記者の手当を削って閑職に就ける部署を新設した。特集『ステルスリストラ 気付けばあなたも』(全10回)の#4では、社内で「追い出し部屋」との批判を呼ぶ朝日のリストラ策を追う。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

パナ、東芝の追い出し部屋問題を追及してきた朝日
自社の「業務連携支援センター」は果たして?

「東芝の子会社の東芝エネルギーシステムズ(ESS、川崎市)で、一部の社員から『追い出し部屋』と呼ばれてきた部署が、今月末で廃止されることがわかった」――。朝日新聞の2021年6月26日付紙面に掲載された記事の冒頭だ。

 記事によると、東芝子会社であるESSは19年春、希望退職に応じなかった中高年社員を配属する「業務センター」を新設。IT技術者に倉庫内の箱詰め作業を命じるなどキャリアに見合わない仕事をさせていた例があるといい、社員側が「追い出し部屋」だとして裁判を起こしていた。この記事は、東芝の株主総会で業務センターの廃止が発表されたことを伝えている。ところが、である。

 朝日新聞社は21年12月、東京と大阪の両本社に「業務連携支援センター」を新設した。社内では「中高年記者の追い出し部屋ではないのか」との声が上がっているのだ。

 国鉄の分割民営化後、国鉄労働組合(国労)本部の組合員にJRによる不当労働行為があったとされた問題に始まり、パナソニック(現パナソニック ホールディングス)やリコーなど大手企業の追い出し部屋問題を追及してきた朝日新聞が、ついに自社に追い出し部屋を設けたのか――。複数の関係者への取材を基に、その実態を詳述する。