早大で圧倒的に強い3社とは
慶大1位はまたも東京海上日動火災

 まず、早大では前年2位の富士通が1位、前年3位のNTTデータが2位、前年1位の楽天グループが3位となり、トップ3がぞれぞれ微妙に順位を入れ替える結果となった。この3社は各々70~80人の早大卒を採用しており、就職先としてはダントツだ。

 4位には、前年のアビームコンサルティングに代わって同15位だったアクセンチュアが急浮上。野村総合研究所もランキングの常連であり、難関国立大学で顕著に見られるコンサル人気が私大にも見られるようだ。

 7位国家公務員一般職、8位東京都職員Ⅰ類と、公務員人気も前年に続いて高い。こちらも国立大に顕著な傾向であり、コロナ禍による安全志向の高まりで、民間企業への就職を様子見する学生が増えているのかもしれない。

 そのほか、東京海上日動火災保険、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、りそなグループ、大和証券、日本生命保険などの金融、日本IBM、日立製作所、三菱電機などの電機が強い。

 次に慶大はどうか。1位となったのは前年に続いて東京海上日動火災だった。同社の持株会社である東京海上ホールディングスの永野毅取締役会長は、同大OBである。前年2位の楽天グループは8位にランクを下げ、代わりに三菱UFJ銀行が2位にランクイン。4位三井住友銀行、6位みずほ銀行と、引き続き銀行人気は高い。

 興味深いのは、前年と同じく3位に慶應義塾が入っていることで、その数は74人にのぼる。安全志向もあるだろうが、コロナ禍前から大学への就職人気が高いことは、早大に見られない傾向だ。職種の内訳は不明だが、大学としては就労環境が比較的充実しているのだろう。慶大卒ならではの愛校心の強さもあるのかもしれない。

 そのほか、同4位アクセンチュア、11位PwCコンサルティングなど、コンサル人気の高さは早大と同じ。富士通、ソニー、日立製作所など製造業への就職も多い。マスコミでは早大と共にNHKに強いようだ。

 こうして見ると、早慶の就職先ランキングの上位に顔を出す業界・企業は似通っている印象がある。もちろん、いずれも大企業ばかり。私学の雄である早慶は、就職先も甲乙つけ難い良きライバルといえるだろう。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。

【ランキング表の見方】
2021年春の大学別の主な就職先。就職先(企業・団体)の名称は、原則としてアンケート調査時点の各大学の回答による。また、大学通信の調査方法によって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。大学院修了者を含む。(調査/大学通信)