テレビはNHK、日テレ、テレ朝、TBS、フジの全社がニュース枠、ネットともに実名で伝えた。全国紙は朝日、読売、産経が紙面、ネットともに実名で報道。毎日、日経が紙面は実名、ネットは「男」、東京は紙面とネットともに男とし実名を避けた。通信社は共同が新聞用に実名、ネットは男、時事は新聞用、ネットともに実名だった。

 東京は1面に記事とともに「特定少年 匿名報道を続けます」の見出しで「事件や事故の報道で実名報道を原則としていますが、20歳未満については健全育成を目的とした少年法の理念を尊重し、死刑が確定した後も匿名で報道してきました。少年法の改正後もこの考え方を原則維持します」などと理由を説明した。

 共同はネット記事に「【注】特定少年の立ち直りを重視する少年法の理念とネットの特性を考慮し、この記事では男を匿名とします」とおことわりを入れている。共同から記事の配信を受ける地方紙も、確認できた範囲では紙面は実名、ネットは匿名としていた。

 全国紙でも毎日と日経が紙面は実名、ネットを匿名にしたのは、共同の加盟社で事前に方針が伝えられており、それに倣ったとみられる。産経と東京も共同の加盟社だが、独自の判断をしたのだろう。

 ただ、ネットでは「初の実名公表がニュースなのに、匿名にするのでは意味がないのでは?」「新聞は可でネットが不可は意味不明」などといった投稿も見られた。

報道各社がサイト上の実名削除
それでも消えない新聞報道の記録

 遠藤被告の弁護人は地検の実名公表を受け、「事前の(実名を公表しないようにという)申し入れが認められず遺憾だ。検察庁が公表した場合でも、報道各社が実名を報道しなければならないわけではなく、(本人を特定できる)推知報道が禁止されていないにすぎない」と主張。

 メディアには「報道各社は少年法改正の趣旨や経緯を踏まえ、少年の健全育成、更生が不当に妨げられることのないよう、本人特定事項を摘示することの必要性を厳格に判断し、これを摘示するか否かを含め、本事件の報道内容および方法を慎重に検討することを求める」と要望した。