「18~19歳の実名報道」が4月に解禁で、懸念される公表基準の問題点とは検察の発表と報道の内容には統一された基準はなく、事件によってばらつきは必至だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

4月1日施行の改正少年法で、罪を犯したとして起訴された18~19歳の「特定少年」について、これまで禁止されていた実名報道が可能となる。最高検は実名公表基準について社会的関心が高い裁判員裁判の対象事件を「典型的事例」としたが、一律の明確な指針は示されていない。また実名で報道するかどうかは報道機関各社の判断に委ねられることになり、検察の発表と報道の内容にばらつきが出るのは必至だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

実名公表するかどうかは
次席検事の裁量次第

 最高検が報道対応を担当する全国の高検と地検の次席検事に通達した事務連絡(2月8日付)によると、実名公表の基準を「犯罪が重大で、地域社会に与える影響も深刻な事案」と明示。そのほかにも「社会の要請が高く、本人の健全育成や更生に与える影響が比較的小さい場合は、個別の判断で公表することが考えられる」と弾力的な運用を要請した。

 冒頭「ばらつき」と書いたが、読者の方は「報道対応はどこの高検や地検でも同じでは?」と思われるかもしれない。実は報道対応に決まったルールはなく、各次席検事の裁量に委ねられているのが現実だ。

 基本的に前任者のやり方を踏襲するが、筆者の知る限り(1)注目事件の起訴状だけ配布、(2)ほとんどの起訴状を配布し注目事件はレクチャー、(3)すべての起訴状を配布し毎日決まった時間にレクチャーとまちまち。検事長や検事正、次席検事の異動で報道対応が変わることもたまにあった。