FRBきってのハト派であるブレイナード理事(中)が大幅な金融き締めを示唆する発言をしたことは、市場を大きく動揺させたFRBきってのハト派であるブレイナード理事(中)が大幅な金融き締めを示唆する発言をしたことは、市場を大きく動揺させた Photo:Alex Wong/gettyimages

FRB(米連邦準備制度理事会)は2022年初の想定より利上げの回数を増やし、その幅も拡大しそうだ。しかし、インフレ抑制にはさらなる引き締めが必要となる公算がある。その場合には景気後退が懸念される。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

FRBの現在のペースの利上げで
米国のインフレは終息するのか

「FOMC(米連邦公開市場委員会)は念入りに利上げを進める」「5月にもかなり早いペースでバランスシート圧縮を始める」「インフレやインフレ期待を示す数値で正当化されれば、より強い行動をとる用意がある」

 これはFRB(米連邦準備制度理事会)のブレイナード理事の4月5日の発言だ。利上げとQT(量的引き締め、国債など債券保有高の圧縮)を積極的に進めていくという(インフレ抑制を重視し、金融引き締めを積極的に進める)タカ派的な趣旨である。

 ブレイナード理事は、FRBきってのハト派(雇用や景気を重視し、金融引き締めに対し消極的な考え方)。その彼女のタカ派転向を思わせる発言に市場は大きく動揺した。米国の長期金利の代表的指標である10年物国債利回りは5日、2.45%から一気に2.55%にまで上昇した。

 同じくハト派の代表であるエバンス・シカゴ連銀総裁も、11日に「5月のFOMCにおける0.5%の利上げは検討に値する」と発言し、10年物国債利回りは2.78%へとさらに上昇した。

 4月6日に公表された3月FOMCの議事要旨では、QTを2017年に開始した前回の倍以上のペースで進めることも示された。現在のFRBは総タカ派と言ってよい。

 FRBは21年11月に開始したテーパリング(量的緩和縮小)を22年3月に終え、3月にFF(フェデラル・ファンド)レートを0~0.25%から0.25~0.5%に引き上げ、5月開催のFOMCでは、QTを開始する。

 10年代の引き締め局面では、テーパリングに9カ月間、最初の利上げからQTまで1年9カ月をかけたのと比べれば、FRBのインフレ警戒の度合いの強さがよく分かる。