IT業界の主な業種は4つある。1つ目はコンピュータや周辺機器の開発・製造を行うハードウェア開発企業。2つ目は企業向けのセキュリティソフトや経理ソフト、個人向けのスマホ向けアプリやゲームを開発するソフトウェア開発企業。3つ目は企業向け(BtoB)、消費者向け(BtoC)のサイト制作やネットワーク構築を請け負うインターネット・ウェブ企業。そして4つ目は前述のシステムインテグレーターである。

百花繚乱の業界模様
DXの波にどう乗るか

 彼らを引き合いに出してIT業界の歴史を振り返ると、80年代は企業の基幹システムであるメインフレームや、市場に出回り始めたパソコンを扱うハードウェア企業が主役だった。

 90年代以降、マイクロソフトのOS「Windows 95」の大ヒットや携帯電話の普及などをきっかけに、IT業界への注目度は上昇。00年代のITバブルを経て、ソフトウェア、インターネットサービスなどさまざまなIT企業が登場し、百花繚乱の様相を呈した。

 10年代に入るとクラウドの時代が本格化。ソフトウェアを介さずインターネットから申し込みをするだけで、いつでも必要なだけ利用できるSaaS形態のサービスが増えた。世界では、自社でクラウドのプラットフォームを擁するアマゾンやグーグルが、並み外れた「勝ち組」となっている。

 こうした進化を経て、日本におけるIT業界のイメージは、以前と比べてかなり先進的なものとなった。IT企業の収入や待遇も、向上している。

 そして、今まさに前述の新たな局面が訪れている。それはDXの波だ。

 商社、銀行、小売りなどあらゆる企業において、ITが重要な経営資源と位置づけられるようになった。自社でIT企画・運用体制の構築を図る企業が増え、IT業界にはシステム投資拡大の追い風が吹く。IT人材の需要もうなぎ上りというわけだ。

 では、そんなIT業界で今後求められるのは、どんな人材だろうか。業界の採用動向に詳しいリクルートエージェントのIT担当コンサルタント・丹野俊彦氏は、「顧客のニーズの背景や真因を捉える力、ITが詳しくない方にもわかりやすく説明する能力を持つ人」と語る。