商社の業界研究、ビジネスの3大変化で人材ニーズが様変わり?【再編マップ付き】バブル崩壊後もそれぞれの得意分野で生き残ってきた商社に迫る、ビジネスの3大変化とは Photo:Diamond

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)『息子・娘を入れたい会社2022』の「親子で学ぶ注目業界『天気予報』」を転載したものです。

親世代が就活をしていた時代、人気だったあの業界は今どうなっているのか。電機や銀行と比べて柔軟に生き残ってきた商社の歴史と、今始まりつつあるビジネスモデルの大変化を分析する。一目でわかる「総合商社再編マップ」も参考にしてほしい。(取材・文/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 副編集長 小尾拓也)

バブル期の人気業界
商社と銀行の明暗が分かれた理由

 バブル世代の親が就活をした1980年代に人気を二分していた業界が、銀行と総合商社だった。理想の結婚相手として、銀行マンや商社マンは必ず名前が挙がった。だが、その後銀行はバブル崩壊後の不良債権問題で苦境に陥り、大再編の波にのまれて、業界の様相は様変わりした。

 一方の総合商社は、バブル崩壊後の合従連衡により、9大商社から7大商社(三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅、豊田通商、双日)へとプレーヤーの顔ぶれは変化したものの、業界が様変わりするほどの再編淘汰は起きなかった。現在も学生の就活人気ランキングでトップグループに顔を出している。

 その理由は、彼らが経営の構造改革を行いながら環境変化に適応することができたからだ。象徴的な事例が、トレーディング中心から、トレーディングと事業投資・事業経営の「二足のわらじ」へとビジネスを変化させてきたことだ。

「ラーメンからロケットまで」と言われるように、従来は原材料や商品の流通を仲介する役割を一手に担ってきた総合商社だが、今では将来性の高い事業に出資や経営参画を行うなどして、川上から川中、川下まで自社が関わるバリューチェーンを構築している。

 バブル崩壊後の景気悪化や、得意先が商社を仲介せずに海外とやり取りする「商社の中抜き現象」が顕在化してきたため、流通だけでなくビジネス全体に関わらないと、大きな利益を得られない環境になってしまったのだ。

 こうした方針転換の影響は、最近の彼らの業績に如実に表れている。資源・エネルギービジネスに深く関わる三菱商事、三井物産、住友商事などは、資源価格の変動に自社の利益が大きく左右される。

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