カーエアコン、冷凍・冷蔵ショーケース、自動販売機等の生産メーカーであるサンデン株式会社と台湾系の上海富申冷機有限公司(上海フレーザー)が合弁で設立した上海三電冷機有限公司の片貝副総経理に、中国の自動販売機ビジネスの状況、中国と日本での製品開発のシナジーの出し方等について聞いた。
中古設備の活用しコスト削減
中国メーカーに見習う点も多い
――サンデンの日本本社で技術開発部門の責任者をされていた片貝さんから見ると、中国ローカル競合の製品はどう見えますか?
弊社が販売している冷蔵ショーケースを例にとると、見た目が同じような製品を中国のローカルメーカーが半分以下の価格で販売しています。もちろん販売価格が安いため、使っている部品も安いので、1年も経たずに故障することも少なくありません。
コストや自社の利益を先に考えてモノづくりを行う中国と、まず品質を優先する日本の違いでしょう。しかし、最近では品質も良くてコストも安いローカルメーカーも出てきました。日本のメーカーも品質が良いからと安心していられません。油断せずに更なる先の技術革新に取り組んでいく必要性を痛感しています。
合弁相手である上海フレーザーは、中古の設備を有効活用しながらコストを抑えてうまく生産しており、日系メーカーも見習うべきところがあると思います。
我々は、サンデンの品質と中国の安く作るノウハウのいいとこ取りをしたいと考えています。
――具体的に、どのようにいいとこ取りをした製品開発を進めるのでしょうか?
1つは、日本の要求仕様をそのまま中国に適用しないということです。我々メーカーの役割は、お客様が要求する品質の製品を提供することです。市場によってお客様の要求品質が異なるのであれば、メーカーも提供する製品の品質を変えるべきです。
そもそも要求仕様は各国の市場で違うはずなので、製品の基本機能などを定義するグローバル共通仕様と、各国ごとのニーズに基づいた要求仕様に分けて製品開発を行うべきだと思います。
コミットする品質レベルを上げればコストも余分にかかり、当然価格にも跳ね返えってきますから、中国でもお客様の要求品質を見据えながら、品質とコストのバランスを取って製品開発を進めていきたいと思っています。
もう1つは、技術者を人ベースで交流させることで化学反応を起こすことです。