吉野家「生娘シャブ漬け」失言に聴衆から笑い声…空気に飲まれる危うさ写真はイメージです Photo:PIXTA

教室や会議室など、以前なら「ここだけの話」で通用したものが、現代ではSNSで瞬く間に拡散・炎上する事態となっている。今週大きな話題となった「生娘シャブ漬け戦略」も、その一つだろう。(フリーライター 武藤弘樹)

各所に広がる超特大級波紋
あらゆる対応しても店員にまでクレーム殺到

 牛丼チェーンの吉野家が、女性蔑視発言で大炎上している。
 
 早稲田大学で行われた社会人向けの講座で、講師を務めた吉野家の常務・伊東正明氏が自社のマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と称したという。「女性は成熟してくると牛丼なんて食べようと思わないため、上京したての右も左もわからない若い女性を牛丼中毒にさせる」という意図のものであったらしい。この言い回しを受けて、教室で笑いが起きたとも報道されている。
 
 受講生が運営側にその表現の不適切さについてクレームを入れると、講義の終わりに早稲田大学の教授が謝罪。伊東氏はその場にいなかったが、その日に直筆の謝罪文がその受講生宛てに届いたそうだ。

 受講生が伊東氏の発言をSNSに投稿したところ一気に火がつき、批判が集まった。講義の翌々日には早稲田大学と吉野家の公式サイトに謝罪文が掲載され、早大は伊東氏を担当から除外し、今後の受講を希望しない受講者に受講料の全額返金を申し出た。吉野家は伊東氏の役員解任、さらには社長の月給を30%カットするなどして、いくつも手を打って必死である。
 
“やってしまったサイド”の対応としてはやれることをすべてやっている感があるが、とにかく火が大きく、一向に鎮火する様子がない。ついには店舗で営業しているスタッフに「シャブを売っているのか」と詰め寄る電話までかかってきたりしているようで、スタッフが、ただただかわいそうである。
 
 筆者は牛丼チェーンの中では吉野家が圧倒的に好きであったから、この件に関しては非常に残念に感じている。そこで、ネットでの消費者の主な反応や、際どい比喩表現がどこまで許されるか、などについて考えてみたい。