さらに、ウクライナ侵攻開始から3日目の2月27日、プーチンは国防相らに対して「核抑止力部隊を厳戒態勢にしろ」と命令している。

 現時点ですでにプーチンは、「現代のヒトラー」と呼ばれている。

 もし戦術核を使用すれば、彼は、「ヒトラーを上回る史上最悪の独裁者」として、その悪名を永遠に人類史に刻むことになるだろう。

 しかし、プーチンやラブロフ外相は、「戦術核を使ったというのは、西側のフェイクだ!」と一蹴し、ロシア国民のほとんども「西側がロシアを陥れるために、戦術核を使ったというフェイク情報を流している」と認識するだろう。

 読者の多くは、ロシア国民のほとんどをだますことなどできるはずがないと思うだろう。しかし、実際、「ブチャの虐殺」や「マリウポリの大破壊」について、ロシア国民は「ロシア軍の評判を落とすために、ウクライナ軍が行った」と信じているのだ。

 ダイヤモンド・オンライン1月29日付記事で筆者は以下のように書いた。

<プーチンがウクライナ侵攻を決断すれば、より強力な経済制裁が科され、ロシア経済は壊滅的打撃を受けるだろう。侵攻の結果、ウクライナは領土の一部を失う。だが、ロシアは世界的に孤立し、経済は破綻しかねない状況となる。まさに「LOSE-LOSE」だ。プーチンが愚かな決断を下さないことを願う>

 しかし、悪い予想が的中してしまった。

 筆者は今、「プーチンが生物化学兵器、戦術核兵器を使わないこと」を心から願っている。