ドンバスの戦いで劣勢なら
生物化学兵器や戦術核使用の恐れ

 ところが、「ドンバスの戦い」で、ロシア軍が圧勝できるとは限らない。

 ウクライナ軍の士気は高く、欧米から無尽蔵に提供される武器がある。

 これまでウクライナ軍は、携帯式対戦車ミサイル・ジャベリンや、軍事ドローンを使い、ロシア軍の戦車を容赦なく破壊してきた。また、携帯式地対空ミサイル・スティンガーを使い、ロシア軍のヘリコプターや戦闘機を落としてきた。

 さらに「ドンバスの戦い」に先立って、欧米はウクライナに供与する兵器の質を変えており、戦車や長距離砲の155ミリ榴弾砲などが供与されるようになってきた。そのため、ロシア軍はウクライナ軍に圧勝できないかもしれない。

 そうなると、ここで負けるわけにいかないプーチンが、残虐な手段を使う可能性が出てくる。

 つまり生物化学兵器や戦術核の使用だ。

 化学兵器については、ロシア軍が4月11日、マリウポリで使用したと報じられている。これについては、欧米も「確認が取れていない」としていて、真偽は定かではない。

 また、戦術核、要するに「小型核」の使用について、日本国民の大部分は、「あり得ない」と感じるだろう。

 しかし、ゼレンスキーだけでなくCIAのバーンズ長官も4月14日、その可能性に言及している。

 そして、何より、プーチン自身が、繰り返し「核使用の可能性」を語っている。

 たとえば、毎日新聞(2月8日付)の以下の記事だ。

<緊迫するウクライナ情勢を巡り、ロシアのプーチン大統領とフランスのマクロン大統領が7日、モスクワで会談した。
 緊張緩和に向けた対話の継続では一致したが、ロシアが求める北大西洋条約機構(NATO)不拡大などの主要問題では隔たりが大きく、プーチン氏はロシアとNATOの核戦争になれば「勝者はいない」と言及し、露側の要求を認めるよう迫った>