英国は「日常へ移行」し、他国も「ウィズコロナ」を覚悟

 デルタ株が猛威を振るっていた昨年7月、英国ではジョンソン首相が、集会や飲食店の制限の解除など、感染抑制のための制限措置の大半を解除し、経済・社会を正常化すると決断した。さらに、今年2月24日に新型コロナ対策のすべての法的規制を撤廃した。新型コロナ陽性者の最短5日間の自主隔離の義務などが廃止された。

 ただし、ジョンソン首相は、「このウイルスはなくならない。そのため、今日は新型コロナに対する勝利宣言できる日ではない」と発言した。一方で、ジョンソン首相は「感染のピークは過ぎて感染者数は減少している」とも指摘した。英国は新型コロナ感染再拡大や新たな変異株への備えをしつつ、「日常への移行」を完了すると宣言した(BBC NEWS「英イングランド、コロナ規制を全廃へ 隔離措置は24日に廃止」)。

 4月1日からは、「新型ウイルスの影響を最も受けやすい人」を除き、一般市民を対象とした無料の大規模症状検査は終了となった。

 英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている。

 中国でも、感染力の強いデルタ株やオミクロン株の感染を抑えることができなかった。しかし、「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした。

 2022年冬の北京五輪を成功させなくてはならないという国家目標があったからだ。