(3)育成担当者に必要なスキルは「見る・聴く・伝える・共有する」

 テレワークで育成をするうえで、特に意識してほしいスキルが四つあります。それは「見る・聴く・伝える・共有する」という、ごく基本的なものです。

 まず「見る」。相手がオフィスで隣に座っている時なら何げなく見ていれば分かることも、テレワークでは意識して見ていないと分かりません。オンライン会議システムなど、顔を見ることができる時に、意識して観察しなければちょっとしたサインを見落とすことになりかねません。

「聴く」際に意識してほしいのは、「状況と情況」です。特に、「情況」は感情の情の部分に焦点を当てることが大切です。モチベーションも、貢献意欲も、快・不快も感情の一つです。「どんな時にやりがいを感じるのか?」「何をしている時が楽しいのか?」など、感情にフォーカスする質問で聴くスキルを高めていきましょう。

「伝える」スキルで大切なのは、仕事の目的やゴール、そして意図を意識して伝えることです。特に、意図は伝わりにくいので、コミュニケーションの基本である量を増やしてからと質を高めていくことを意識するとよいでしょう。

「共有する」スキルとは、仕事全体の進捗や、チーム全体に関係する課題、メンバー個人の事情など、たくさんの情報を共有するということです。「これはまだ早い」とか「知らなくていい」と思って部分的な情報だけを渡すのではなく、できるだけ多くのことを伝えていかないと、チームメンバーとしての自覚が薄れてしまいます。

インプット、アウトプット育成担当者はもちろん教えるスキルが必要ですが、それ以外にもこの四つのスキルを意識して使うことで、テレワーク環境でも育成対象者が育っていきます 拡大画像表示