新たに採用した派遣スタッフのうち7割はエンジニア未経験者。うち約3割は販売・サービス職からのキャリアチェンジです。実際、リスキリングにより異業種からエンジニアに転職した事例をご紹介しましょう。

【ケース3】
土木作業員から
通信分野のエンジニアへ

 道路工事施工会社で土木作業員として働いていたDさん(20代)は、SSEが提供するe-ラーニングで「第三種電気主任技術者試験」「工事担任者第2級デジタル通信」の資格取得を目指し、学んでいます。電気通信に関わる構築や運用を行う会社で就業し、ネットワーク機器のリプレイス作業を担当しています。

 Dさんは前職時代、工事現場の作業工程の調整や、取引先の現場監督とのやりとりを経験。そこで培われた「対人折衝力」「トラブル発生時の課題特定力」「危機管理力」などが、今の仕事に生かされています。

【ケース4】
化学系研究職・専業主婦から
自動車業界のエンジニアへ

 総合化学メーカーで4年ほど研究開発職として働いた後、2年間専業主婦として過ごしたEさん(30代)。コロナ禍での社会変化に直面し、「人々の生活基盤を支える仕事をしたい」という思いを持つようになり、SSEに再就職しました。

 Eさんのリスキリングは、「プログラミング言語(C言語)の習得」「自動車および自動車業界の仕組みの理解」。現在は、大手自動車部品メーカーで自動車に搭載される電子制御装置ソフトの開発を手がけています。新技術領域への取り組みが急がれる分野であるため、前職や学生時代に培った「課題発見力」「問題解決能力」「学び続ける姿勢」が活かされています。

 今回は、「社会人インターンシップ」「リスキリング」にフォーカスしましたが、その他にも「副業」「転職」など、働く個人はあらゆる方法で自身の強み・志向をディグり、将来に向けてキャリアを築いていこうとしています。

 企業側も、現時点で持っている経験・スキルを評価するだけでなく、視野を広げて人材をディグることで、活躍の可能性を秘めた人材の獲得につながっています。

 変化の時代は、個人も企業も異なる成長領域に越境挑戦する時代。「新しいものさし」「お試し」「リスキリング」といった新しい出会いの方法が企業にも広がりつつある今こそ、働く1人ひとりが持つかけがえのない持ち味や経験や感情を、深く掘り見つめることが重要になります。

 内観するからこそ、外延できる。深く掘るからこそ、越境できる。「ディグるキャリア」は、異業種・異職種越境時代への大きな力になるのではないでしょうか。

「リクルートが捉えた採用の新潮流(上)」も、併せてお読みください。