プレイステーションの父と呼ばれる久夛良木健(くたらぎ・けん)氏が今春、近畿大学情報学部の学部長に就任した。久夛良木氏はコンピュータ・エンタテインメントの第一人者であり、世界のギークからビジョナリー(未来を予見できる人)と呼ばれ続けている。そんな日本人は、彼をおいて他にいない。この久夛良木氏が、新入生を中心とする学生たちにイノベーションの最先端を語る特別授業が4月、開講した。人工知能、ウェブ3.0、次世代モビリティ……。若者だけでなく、ビジネスパーソンにとっても刺激が満載の近大情報学部「久夛良木ゼミ」をダイヤモンド・オンラインが“実況中継”する。初回は、インターネットをググれば何でも分かる時代に勉強する意味についてだ。
ウィキに何でも書いてある
勉強は無駄なことなのか?
皆さんは小学生から中学生、高校生と、たくさん勉強してきました。国語、数学、物理、化学……といろんな科目を学んで、テストもたくさん受けてきました。そうやって学んできたことを全て覚えていますか?大体はもう、覚えていませんよね。
覚えていなくても現代は、インターネットを検索してウィキペディアを見れば大抵のことが書いてあります。インターネットじゃなくても、分からないことは誰かに聞いたらいいじゃない、と思う人もいるかもしれない。
では、長年学んできたのは果たして無駄なことだったのでしょうか?
これについて考えるために、赤ちゃんの話をしましょう。
赤ちゃんは生物学的には、親から脳という器官の構造を引き継いでこの世に生まれてきます。ただしその脳をコンピュータに例えると、生まれた時点ではプログラムも何も入っていない状態です。この時点ではまだ何も理解できないのです。
そんな状態から生後1年ぐらいで、赤ちゃんは言葉を話し始めます。なぜこんなすごいことが起こるのでしょうか?