飯田グループホールディングスは2022年3月期決算で過去最高益を更新した。一見、順風満帆にみえるが、足元では企業買収や経営体制などでリスクを内包。内憂外患のまま、新たな1年に突入する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
約600億円の投資回収が
ウクライナ侵攻で不透明に
「RFP(Russia Forest Products)の買収によるシナジー効果については、現時点で見通しが立たない状況だ」――。住宅大手の飯田グループホールディングス(以下、飯田GHD)は5月16日、2022年3月期決算を発表する場で、そう説明した。
RFPとは、飯田GHDが21年12月に約600億円を投じて買収したロシアの木材企業だ。森林認証を取得した林区面積は約400万ヘクタールで、年間原木伐採量は飯田GHDが1年間で販売する一戸建ての木材使用量に相当するという。
ウッドショックによる需給ひっ迫や市況変動などの影響を抑えて安定的な木材調達を目的とした買収だったが、今年2月、ロシアがウクライナに侵攻したことで状況が一変。日本政府が輸出入制限などの経済制裁を実施したことで、先行き不透明になった。
現時点では、飯田GHDとRFPとの取引実績は20億円程度。RFPにおける販売構成比率は中国とロシアが多く、日本は10%程度なので輸出入制限の影響は限定的で、主力の一戸建て分譲事業への影響はほとんどないとしている。
だが、ロシア問題が長引くほど悪い方向に行くのは間違いない。飯田GHDが抱える経営の火種はそれだけではない。実力者が相次いで退任し、経営体制が揺らいでいる。また、主力の一戸建て分譲事業がバブルに踊ってはいられない局面にある。