『週刊ダイヤモンド』5月28日号の第1特集は「儲かる農業2022」です。肥料などの価格高騰により、農家の大離農時代がやってきました。ピンチをチャンスに変える経営力ある農業法人は売上高100億円超を視野に“豪農化”を進めています。他方、農協は本業の農業振興をおざなりにしたまま衰退の道を突き進んでいます。ダイヤモンド編集部の独自試算で118農協が赤字に転落することが分かりました。本特集では、多くの農協が不適切な保険販売を行っていることも明らかにします。

農協がひた隠す「5年後に赤字転落」極秘試算
118JAが赤字転落か、金融依存の危うい経営

 農協の大淘汰時代がやって来た。ダイヤモンド編集部の独自試算で、対象農協の「4分の1」に当たる118農協(JA)が赤字になることが分かった。農協の経営の危うさを徹底解明する。

JA共済Photo by Takeshi Kubota

 農協幹部たちが組合員に黙して語らない“マル秘の試算結果”がある。農協は金融事業への依存から脱却し、農業関連事業で利益を出すための計画を定めるよう政府から求められている。実は、計画作成のために内々に行った損益試算で、多くの農協が「5年後に赤字に転落する」との結果が出ているのだ。

 ある農協幹部は「金融機関である農協が赤字の試算を公表するわけにはいかない。試算は何も手を打たなかった場合の“成り行き”のものだ。組合員に示す損益計画はリストラを実施し、黒字経営を実現する方のシナリオだ」と内情を明かす。

 そこで、ダイヤモンド編集部は農協がひた隠しにしている5年後の損益試算をできるだけそれに近い形で再現した。