法的には「勝負あり」
懲役18年を維持が濃厚

 それでは、判決の行方はどうなるだろうか。前述のデスクと一致したところでは「前回の懲役18年を維持」だった。

 というのは今回、公判が差し戻しでやり直しとなったのは、判決内容に何かしらの問題があったわけではない。あくまで公判前整理手続きの中で、ルールを逸脱してしまったことが原因だった。危険運転致死傷罪の成立そのものは前回の一審、二審とも認めており、法的な解釈という点では「勝負あり」だったと言える。

 だからこそ、弁護側も「危険運転致死傷罪は成立しない」という本来の無罪主張に加え、裁判員に好青年を印象づけたり、トラック運転手の無謀運転が原因としたり、さらには「覚えていない」で通させ余計なことを言わせないなど、戦術を補強したのだろう。

 検察側は前回、懲役23年を求刑し、判決は同18年だった。今回、検察が求刑を懲役18年としたのは「(前回の)判決理由と量刑判断について間違いはなかった」と横浜地裁のメンツに配慮したわけだ。

 横浜地裁としては「不祥事」に近いミスで、検察や遺族・関係者ら(もちろん石橋被告や弁護側もそうだが)に迷惑をかけた格好だ。これで「無罪」など言い渡そうものなら、世論も納得しまい。

 今回、弁護側が事故の原因と主張したトラック運転手の男性は、既に不起訴処分となっている。これで万が一、石橋被告が無罪なら、刑事責任が誰にもなかったということになってしまう。

「整合性」「つじつま」という意味で、石橋被告の懲役18年は多くの人が納得する、自然な結論ということで落ち着くのではないだろうか。