調査は2012年6月13日から15日の静岡市による岩手県大槌町の震災がれきの試験焼却に合わせて実施した。試験焼却前日の12日夕方に、沼上清掃工場の南側を中心に試料採取用の衣装ケースを計15ヵ所設置し、試験後の17日夕方に回収した。

 12月上旬にそのうち4ヵ所の試料を名古屋大学名誉教授の古川路明氏を通じて専門機関で分析してもらったところ、下表に示したとおり、最大で1平方メートルあたり0.4ベクレルの放射性セシウム137を検出した。

 国が実施している同様の調査によれば、静岡市の採取場所で6月の1ヵ月間に放射性セシウム137が1平方メートルあたり0.54ベクレルだった。つまり、試験焼却時の3日間(設置から回収までだと計5日間)だけで、1ヵ月分の7割以上の放射性セシウム137が降り積もった計算になる。

「セーブ・ジャパン・ネットワーク」代表の森田悠馬氏は「環境省のいう『バグフィルター(焼却炉の排ガス処理工程に設置される集じん装置)で99.9%の放射性物質が捕れている』との確証を得るために調査してみたのですが、たった3日間でこれだけの放射性物質を捕捉したことは予想外でした。国のデータと比べても、試験焼却でかなりの量(の放射性物質)が漏れたといえるのではないか」と指摘する。

 4ヵ所の測定地点のうち、放射性セシウム137の降下量が多かったのは焼却施設の南西2キロほどの測定地点2と南南西3キロほどの測定地点4で、それぞれ1平方メートルあたり0.39ベクレル、0.4ベクレルを検出した。それに対し、焼却施設の南東1.5キロほどの測定地点1と北北東1.5キロほどの測定地点3では、同0.12ベクレル、0.24ベクレルと低めだ。

 試験焼却時は北東や北北東の風が多く、風上側となる測定地点1と3に比べ、風下にあたる測定地点2と4で高めの数値が出ている。

 また測定に使用した衣装ケースは1が平屋建ての屋根上、2が住居3階のベランダ、3と4が1メートル程度の高さに設置されており、いずれも地上の放射性物質が風で再飛散するといった影響はかなり抑えられているとみられる。

「汚染源として可能性があるのは(試験焼却をした)焼却施設しかない。風下側が高くなったことも試験焼却の影響の可能性が高いと思います」と森田氏は語る。

 測定地点2と4は1キロ以上離れているが、いずれも1平方メートル当たり0.4ベクレル近い。この水準でこの地域が汚染されたと想定して、1平方キロメートルあたりの放射能量を試算すると、40万ベクレルに達するという。

「微量などでは決してなく、とても無視できる量ではありません」(森田氏)