ジョーンズ氏はトレーニングプログラム作成においても、「もっと笑い、もっと面白いプログラムを作ろう」と考えるようになったという。選手の休息を増やし、ポジティブマインドを育んだジョーンズ氏の試みが、ラグビー日本代表の快進撃を支えたのかもしれない。

スポーツ心理学が目指す
メンタルヘルスケアの中身

 産業医を配置して社員のメンタルヘルスケアを行う企業が増えたように、スポーツ関連施設でもメンタルヘルスケアへの意識が高まっている。

 JISS(国立スポーツ科学センター)では、心療内科医の診察や公認心理師・臨床心理士による心理カウンセリングを行うスペースを確保。スポーツの研究分野でも、メンタルヘルスに力を入れていることがうかがえる。

 アスリートのメンタルをサポートする上で知っておきたいのが、スポーツ心理学の力だろう。日本スポーツ振興センターHPによると、スポーツ心理学とは「スポーツに関わる課題を心理学的側面から明らかにして、スポーツの実践や指導に科学的知識を提供する学問」だ。

 スポーツ心理学では次の領域が設定され、アスリートへの心理サポートや競技力向上・実力発揮に関わる研究が進められている。

・スポーツ運動の発達
・スポーツの運動学習
・スポーツの動機づけ
・スポーツの社会心理
・競技の実践心理
・スポーツメンタルトレーニング
・健康スポーツ心理
・スポーツ臨床

 スポーツ心理学の調査・研究が発展することで、アスリートの心の健康や選手生命を守る方法が確立されていくはずだ。たとえば、アスリートを苦しめる心の不調のひとつ「イップス」の治療法発見にも期待がかかる。