日本の「男女平等」は近代社会になって崩れた

 続けて女性の労働についても、「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」という考え方は、産業構造が転換した近代社会のものであるとも指摘されている。

「女性の労働参加率(15歳以上)の長期推移を見ると、明治43(1910)年以降、昭和50(1975)年に底を迎えるまで、長期的に低下傾向をたどっているが、この要因には、明治初年に始まる工業化への努力により、以前は家族従業者として就業していた層が非労働力化したことが寄与していると考えられる」

「以前は農業や自営業が多かったため、家業に従事している女性が多く、現在の女性とは働き方こそ異なるものの、女性は無償労働だけではなく、有償労働にも従事していた。『男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである』という考え方も、産業構造が転換し、それまでの農家や自営業者を中心とする社会から、雇用者を中心とする社会に変わった際に生まれたものであることが分かる」

 ツイッター上で度々話題になる動画がある。自民党の杉田水脈衆議院議員が衆議院本会議(2014年10月31日)でこんなことを演説する動画である。

「本来日本は男女の役割分担をきちんとした上で女性が大切にされ世界で一番女性が輝いていた国です。女性が輝けなくなったのは冷戦後、男女共同参画の名のもと伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指して来たことに起因します。男女平等は絶対に実現し得ない反道徳の妄想です」

 このような演説の背景にある価値観に対する、「男女共同参画」からのアンサーだと捉えるのは、あながち間違いでもないだろう。