
トランプ相場で大荒れの展開が続く為替と株。大切な資産を守るため、不幸のドン底に叩き落されないためにも、どうか私の経験を紹介したい――。そのように使命感を燃やすのは、株取引とFXで200万円以上の損失を出したことのある佐藤大輝氏(34歳・ウーバー配達員ライター)が、連戦連敗を繰り返した当時の心境と敗因について語った。追証地獄で頭をよぎるロスカットの恐怖……なぜ預金0円に落ちるまで、FXから身を引くことができなかったのか。佐藤氏に当時の頭の中を振り返ってもらった。また、本稿では佐藤氏が負け続けたときの取引履歴を公開している。(ライター・ウーバー配達員 佐藤大輝)
ブラック企業から勝ち取った賠償金を
FXで溶かしてしまったワケ
預金のまま眠らせておくのは勿体ない。資産運用はこれからの時代で必須スキルだ。早くラットレースから抜け出したい……。当時25歳だった僕はそれっぽい理由を並べながら、証券口座を開設した。とどのつまり「お金が欲しかったから」資産運用を始めたわけだが、まさか1年も経たない内に200万円の損失を出すなんて……。
当時は預金が450万円ほどあった。このお金は新卒入社したブラック企業を不当解雇。2年間ほど裁判で争った後、被告側から支払われた賠償金(手取り金額)だ。それまでの僕は人生を通して、預金残高が30万円を超えることはなかった。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、20代単身世帯の預金平均は65万円。30代は289万円。40代は275万円となっている。僕が何を言いたいか。人生で初めてまとまったお金が入り、僕は舞い上がっていた。
当時はフリーターとして働いていた。月収は20万円前後で、埼玉県の北部で一人暮らしをしていた。国民年金は滞納していた。国民健康保険にも未加入だった。大学時代に借りた480万円の奨学金は、そのほとんどが残債として残っていた。
最初にハマったのは株取引だ。シャープや三菱UFJ銀行など、誰もが知っている大企業の株価を調べては、「去年よりも10%安くなってるから今が買いだ!」「今年は10%も株価が上がっているからまだ上がるはず!」……。
勘と度胸を頼りに、お金がお金を生むことを信じて売買を繰り返した。自分なら勝てると信じて疑わなかった。