防犯カメラは今後も増える傾向
通報前に拡散する手法に批判も

 東海テレビの報道(「自転車の痴漢男」を追え!防犯カメラで容疑者特定 “スゴ腕捜査員”に密着 保存期間との『スピード勝負』2022年1月2日)によれば、防犯カメラなどの映像をきっかけに検挙に至った事件は2016年に約1万3000件、2020年には約2万8000件と、急激に増えているという。

 実際、店先などにある防犯カメラ映像を順番に追いかけて検挙に至った事件の報道を、ここ数年たびたび見かける。

 電車内への防犯カメラも導入が少しずつ進んでいるようで、先日は関東私鉄と比べて導入が遅れている関西私鉄でも試験的に設置されるというニュースが出た(「阪神電車に防犯カメラを試験的に設置 防犯に加え、導入に向けて狙いは?」6月4日まいどなニュース)。このニュースによれば「今後あらたに新製する列車には基本的に標準装備として防犯カメラを設置する意向」とあり、今後は車内カメラが増えていくことは間違いない。

 防犯カメラやライブカメラの増加は、これまで泣き寝入りするしかなかった犯罪の解決に一役買っているといえそうだ。

 また、歌舞伎町でのすり事件解決のようなネット上での「自警」が今後増えるのかもしれない。

 一方で、カメラがどこにでもある現代の「監視社会」を息苦しく思う人も中にはいるであろうし、また撮影動画の拡散も批判されてしまうこともある。

 冒頭で紹介した栃木県の追い越しについては、反応のほとんどが撮影者に賛同するものだったが、少数の意見として「やりすぎだ」というものがあった。投稿者もここまでの反響を望んではいなかったのか、その後アカウントに鍵をかけている。

 5月末には、名古屋市内のゲーム店「MEIKOYA」でプレイステーション5の窃盗事件があった。防犯カメラには箱を抱えて堂々と店を出ていく男が映っており、店主はこの男の顔を隠した状態の画像を見せて、ツイッターで公開。

「1週間以内にお返し下さい。お返しいただけない場合は警察に相談させていただきます」と書き添えていた。この件もほとんどが店主に同情的だったものの、中にはツイッターに投稿せず、警察に届けるべきだという声もあった。

 アイリスオーヤマの件のように、迅速な謝罪が出た時点でほとんどの人は決着がついたと感じるが、中には執拗な「私刑」に走る人もいる。ネット上での炎上にはそのような傾向もあるため、「さらし」行為を心配する人もいるということだろう。