拡散する側の倫理観は大丈夫か
防犯とプライバシー侵害

 もし自分が何らかの被害に遭った場合、被害の様子や加害者の決定的証拠がカメラに収められていたら、心強いことだろう。

 一方で防犯カメラ設置論には反対意見もあり、これは撮影された動画が何らかの目的で意図的に使われる可能性を危惧するものだ。実際そのような可能性はゼロではないし、公道での自分の一挙手一投足がすべて監視されている社会を想像すれば息苦しさしかない。中国ではすでにAIを用いた監視カメラによって、通行人の個人識別が可能という。

 とはいえ、中国の監視カメラの状況と、日本の現状はかけ離れているため、今の日本で監視カメラの防犯優位性とプライバシー侵害をてんびんにかけ、前者を優先すると考える人は少なくないだろう。

 今のところ広く拡散されるのは、マナー違反や違法行為の動画であり、一般人をからかったり、悪意的に取り上げたりするものではない(そのような動画や画像が投稿されることもあるが、広く拡散された場合に批判を浴びるのは投稿者である)。この倫理観が崩れないことを祈りたい。