「電気代爆上がり」には見落としてはいけない
三つの問題が潜んでいる

 そもそも、なぜここまで電気料金が問題になっているのか。私の新刊『日本経済予言の書』などでも詳しく事情を整理しているのですが、端的に論点を挙げると、以下の三つの要因がからまって起きている話です。

(1) 原油高と円安のダブルパンチでの燃料の値上がり
(2) 原発停止による発電能力の根本的不足
(3) 予想される今夏の異常気象

 順番に詳細を確認していきましょう。

要因(1)原油高と円安のダブルパンチでの燃料の値上がり

 ここで取り上げている原油高の原因は、ロシアのウクライナ侵攻だけではありません。世界中で行われている、地球温暖化防止のための脱炭素の動きから始まっています。2030年をめどに、世界のインフラを石油からグリーンエネルギーに変えていく動きがあるのです。

 だから、ウクライナ侵攻などにより世界中で短期的に石油が不足しても、アメリカのシェールオイル企業などは追加の増産投資をしないのです。それはそうです。これから需要が減るものへの投資はなるべく抑えたいものですから。

要因(2) 原発停止による発電能力の根本的不足

 一方で、日本は2011年の東日本大震災以降、原子力発電所の大半を稼働停止にしています。原子力発電所は、2011年まで全電力の4分の1を支えていました。その大半を失ったわけですから、そもそもの発電能力が大幅に少ない状態です。

 さらに、前述のように他の国々が太陽光、風力などのグリーンエネルギーを活用する中で、実は日本には大きなハンディがあります。

「土地が少なくてグリーンエネルギーを増やしにくい」のです。

 そのような背景がある中で、日本はなんとかLNG(液化天然ガス)を利用した発電能力を増やすことで、需給ぎりぎりのところでバランスをとってきました。しかし、今年の夏はどうやら異常気象で、例年よりもずっと暑い夏がやってきそうなのです。