安全性に対する懸念から原子力発電が支持されなくなって数十年がたった現在、西側諸国は原発に大きな賭けをしている。ただ、原子炉建設の専門知識や技術は失われてしまった。各国政府は、気候変動対策を支援し、ロシア産の石油・ガスへの依存を減らすため、二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力発電を求めている。米国、フランス、中国は、これまでの設計と比べて建設が容易で、より安全な新世代の原子炉を支援している。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、新型原子炉稼働を急ぐべきだとの機運が高まった。こうした野心は西側諸国で大きな障害に直面している。原子力の時代を生んだ国々では、原子力エネルギーが長年にわたり避けられてきたため、原子炉建設の経験を積んだ管理者や熟練労働者が不足している。米国と欧州で既に建設中の一握りの原発は、工事が何年も遅れ、コストが当初予算を何十億ドルも上回っている。これらのプロジェクトに参加した企業は破綻し、米国と欧州の原子力工学能力の弱点が露呈している。
原発に復活の兆しも 課題は原子炉建設
原子炉建設の経験を積んだ熟練労働者が不足
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