積立投資のメリットは、値段が安くなったところで
通常より多くの量を仕込むことができること
ドンと、大きく下がったところで大量に買う自信があれば、誰でも一括投資をします。
でも、実際にはそんなところで買える人はほとんどいません。だから積立投資によって、買い付けるタイミングを分散させるのです。
積立投資は毎月買いますから場合によっては、値段が高いところで買わざるを得ない時もあります。
しかし、定期的に同じ金額で同じものを積立投資していけば、値段が高い時は買う量を抑えられ、値段が安い時は多くの量を買うことができます。
もちろん、下げ続けた結果、無価値になってしまったら一括投資も積立投資も関係なく等しく損失を被ります。
しかし、値段が上下動を繰り返しているならば、値段が安くなったところで通常よりも多くの量を仕込むことができる積立投資は、有効だと考えられます。
また、このように積立投資の合理性について説明すると、もう少し投資に詳しい人の中には、「いや、そうではない。フェアバリュー(適正価格)をきちんと計算できるなら、その価格で一括購入すればいいのだから、やはり積立投資をする必要はどこにもない」と主張される人もいます。
この考え方は、たとえば株式であれば通るかもしれません。その会社が持っている資産の額、あるいは業績などから見て、本来あるべき株価はいくらなのかという「フェアバリュー(適正価格)」を計算できるからです。
今の株価が割高なら買わない、割安なら買うというように判断して、わざわざ積立投資をしなくても、フェアバリューのところで一括投資するという考え方はありです。
しかし、そもそもその算出には高度な企業価値分析が必要で、大半の人には困難な作業です。
でも、投資信託の場合は、さまざまな資産を組み入れて運用している金融商品です。投資先は多岐にわたりますから、投資家サイドでフェアバリューを計算することなどできません。
フェアバリューを計算できない以上、一括投資はリスクが高いだけですから、投資信託は積立投資が有効ということになります。
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言。国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を9年連続受賞。
口座開設数16万人、預かり資産5000億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(以上、ダイヤモンド社)他多数。