ファクト1:コロナ禍で非正規労働者は101万人減ったが
正規労働者が61万人増えている

 2020年にコロナ禍が始まった当初、飲食業界や観光業界など多くの業界で「雇い止め」が問題になりました。企業が需要の急激な減少を乗り切るために、雇用の調整弁として非正規労働者の雇い止めに走ったことがニュースになったのです。

 ミクロの視点では非正規労働者の苦境が報道されたものですが、マクロの数字を見てもこの2年間で非正規労働者は101万人も減少しています。これは令和3年の労働力調査からの数字です。

 過去10年間で見ると、コロナ禍以前は非正規労働者が一貫して増加していたのにもかかわらず、この2年間だけ大幅に減少したことがわかります。

 しかしその一方で、実はアベノミクス以降、日本の正社員の数も一貫して増えています。日本の正社員数は過去8年間で267万人増加、特にコロナ禍では伸び率が上がり2年間で正社員は61万人増えました。

 この差し引きで、コロナ禍で減少した雇用は40万人ほどです。コロナ禍で雇い止めが起きた一方で、より安定した雇用を求めて正規雇用に流れた元非正規労働者も結構な人数が存在したわけです。