今のシステムでは若い人たちが
新しい世界に備えることができない

 私たちが今、腐心しているのは、「これまでの学校のシステムをいかに終わらせ、いかにその次の段階を考えるか」ということです。

 世界中で工業化が広まると同時に、工業化時代の学校モデルが世界中に広まりました。その結果、学校のシステムの主流は、シカゴでも、コペンハーゲンでも、ニューヨークでも、上海でも、実はほとんど同じものになってしまっています。

 しかし、そのシステムは限界に来ています。

 親や教育者、政府関係者など、多くの人は、何を変えるべきか、本当はよくわかっているはずです。今の(学校の)システムでは、若い人たちが新しい世界に備えることができないのです。でも、こうした課題が世界共通であることには、多くの人は気づいていません。

 そこで私たちが期待しているのが、バーチャルを活用し、適宜、対面によるコミュニケーションでも補完しながら、教育を変革する指導者のグローバルネットワークをより迅速に築くことです。このようなことは、コロナ禍前には夢のような話だったかもしれません。

リスクを取っても責められないことが
「わかっている」状態が大切

「世界をつなぐ」のは、技術者たちの長年の夢でした。もちろん、すでに世界はつながっています。ただし、非常に表面的な形です。世界中の人と物の売り買いができ、瞬時の決済も可能です。でも、世界中の人々と「会話」ができているでしょうか? そこが問題です。

 私の考えはこうです。

 もしみなさんが、人々が本当に考え、本当に耳を傾け、本当に深い会話を交わせる場所を創り出す方法――、「深いソーシャル・スペース」を創り出すためのよい方法を知っているなら、先行きに期待が持てるようになり、可能性も見えてくると思います。リアルとはまた異なりますが、深い会話を行うための、より強力なバーチャルスペースをつくることができます。

 しかし問題は、テクノロジーの持つ二面性、「制約」と「可能性」のバランスをどう取るかです。それには、この問題の核心をみなさんに知っていただくことが先決です。そうすればバーチャルの「制約」ではなく「可能性」のほうを活かせるでしょう。

 ビジネスの世界と教育の世界には、同じ問題が横たわっています。

 ビジネスチームがうまく機能するためには、人々はお互いを知り、お互いを信頼しなければなりません。各メンバーが、「リスクを取っても責められない」ことが、「わかっている」必要があります。

 チーム内にある種の相互関係があり、共通の目的意識を持っていなければなりません。より大きな「システム」を構成する各要素について、率直に話し、探求しなければなりません。

 ビジネスでも教育でも、より深い「リレーショナル・フィールド」や「ソーシャル・フィールド」をつくるために、バーチャル空間で議論をするなどのテクノロジーを使った方法を整備し、「自分たちにとってもっとも大切なこと」について、人々が本当に意味のある会話を交わせるようになるならば、テクノロジーがそれを後押しし、場合によっては加速してくれるでしょう。