仕事の効率化で「自分の時間」は増やせない!全米ベストセラー本の教え写真はイメージです Photo:PIXTA

「やることリストを超速でこなせるようになった結果、ありえないほど大量の仕事に見舞われた」と語るのは、イギリス紙ガーディアンで活躍する気鋭のライター、オリバー・バークマン。彼はそんなパラドックスの果てに「人生の時間は限られている」という真実に直面しました。彼の著書で、全米ベストセラーとなった『限りある時間の使い方』(かんき出版)から一部抜粋・編集して、「すべてのことを終わらせる」という強迫観念を捨て、限られた時間をより良く生きる「3つの原則」を紹介します。(ライター オリバー・バークマン、翻訳/高橋璃子)

第1の原則 まず自分の取り分をとっておく

「まず自分の取り分をとっておく」というのは、グラフィックノベル作家のジェシカ・エイベルの言葉を借りたものだ。エイベル自身はこの考え方を、パーソナルファイナンス(個人のお金の管理法)の世界から借用している。

「給料を受けとったら、まず自分の取り分を確保しましょう」というのがこの考え方の基本だ。給料が入ってすぐに一部を貯金や投資に回せば、後でお金が足りないと感じなくてすむ。日々の買い物をするときにも、まるで最初からその分がなかったかのようにやりくりできる(もちろん、それはある程度の収入がある人の話だ。ギリギリ生きていくだけの収入しかない場合は、この計画はうまくいかない)。

 世の中の多くの人は、まず日々の買い物をして、余ったら貯金をしようと考えている。するとなぜか、月末にはすっかりお金がなくなっている。派手に無駄遣いしたわけではない。ちょっとラテを飲んだり、ネイルをしたり、新しい電子機器を買ったかもしれないけれど、それはそれで必要だったのだ。あらゆる支出は、お金を使う時点では、とても賢明な支出に感じられる。

 ただ困ったことに、僕たちは長期的な計画を立てるのが苦手だ。

 今の時点で何かが必要だと思っても、それは1週間後や1カ月後に見れば無駄だったということが少なくない。長期的な優先順位を事前に判断するのは、実質的に不可能だ。だから自然とお金を余分に使いがちになり、後になって「お金がない」と嘆くことになる。

 時間についても同じだ。