アメリカで25日間入院すると
請求された医療費は4661万円!

 海外で受けた医療費も、治療の内容や金額によっては高額療養費(医療費が家計の重い負担にならないように、1カ月に支払う医療費の自己負担額に上限を設けた制度)の対象になる。とはいえ、日本と外国では、施される治療も医療費も大きく異なるため、日本で医療を受けるようなわけにはいかない。特に、先進諸国は医療費が高額で、時として非常に高い医療費を請求されることがある。

 JTBの「2019年度海外旅行保険事故データ」によると、アメリカでくも膜下出血と診断されて、25日間入院したケースでは、家族の渡航費用やチャーター機での医療搬送費なども含めて、4661万円の保険金が支払われている。

 このほか、アメリカで脳出血と診断されて3506万円、グアムで心筋梗塞と診断されて2100万円、ハワイで心筋梗塞と診断されて1500万円など、海外での高額な医療費の実態が明らかになっている。

 COVID-19に限らず、海外で病気やケガをすると、医療費そのものが高額な上に、家族が現地に向かうための渡航費用、日本に帰るためのストレッチャーでの移送費用など、思わぬ費用がかかることもある。

 実際にかかる費用は、健康保険の海外療養費だけでは、カバーできない可能性が高い。そこで、海外旅行に行く前に必ず加入しておきたいのが、民間の損保会社が販売している「海外旅行傷害保険」だ。

 海外旅行傷害保険は、海外旅行中に起きる可能性のある危険や損害を総合的にカバーするものだ。補償内容は、賠償責任や携行品損害、治療費用、救援者費用、死亡・後遺症などで、他人への補償や自分の持ち物の補償のほか、自分が病気やケガをしたときの補償などが備わっている。

 なかでも、重要なのが治療費用や救援者費用だ。前述のように、海外で病気やケガをすると、医療機関への支払いのほか、現地に家族が行くための渡航費用、医療搬送費用などがかかることもあり、その費用は数百万~数千万円単位になることが想定される。

 その費用を賄えるだけの貯蓄があればいいが、支払えない場合は自己破産に追い込まれたり、その場で必要な治療を受けられなかったりする可能性もある。