【「5回勝負して4回勝つ人」と「100勝負して60回勝つ人」ビジネスで優秀なのはどっち?】の広告でも話題沸騰。全国3000社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。
「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。

【2割が優秀、6割が平凡、2割が無能?】集団のジレンマを乗り越える、とっておきの方法Photo: Adobe Stock

「数字の中身」にうるさい人になろう

 子どもと話していると、たまに「数字(事実)」に敏感でハッとすることがあります。

「宿題をちゃんとやりなさい」と親が言ったとします。
ちゃんとって、どれくらい? 何時間くらい?

 そう子どもは言い返します。
 生意気だと思った親は、「うるさい!」と叱りつけるかもしれません。ただ、そうやって感情的に伝えたところで、子どもは自ら動くでしょうか。

 あるいは、片づけをやっていなかった子どもに、
「この間も言ったでしょ!」と叱ったとします。すると、
この間っていつ? 何月何日何時何分?

 そう言って、言い返してくることもあります。
 これは、じつはお互いの「認識のズレ」をなくそうとする行為です。
 それに対して、都合の悪い親は、曖昧な基準で叱りつけようとしています。
 この「子どもの態度」は、じつは正しくて重要です。

 なぜなら、優秀な経営者は、子どものように徹底的に数字を詰めるからです

「前月から売上が10%下がっているけど、何が原因として考えられる?」
「人員を増やすよう要望が出ているが、その根拠はあるか。それによる売上はいくら見込めるか」

 など、数字の中身を詰めて確認します。
 一方で、経営陣が次のような会話をしていたとすると、どうでしょう。

 経営者「この事業の進捗はどうですか?」
 担当役員「順調です」
 経営者「わかりました。その調子で頑張ってください」

 こんな甘いやりとりだけで報告を終える経営者の下で働きたいでしょうか。

 上の立場になると、人の意見やアイデアを判断しなくてはいけなくなります。
 そのときに、人の「好き嫌い」やアイデアの「良い悪い」など、主観で考えていると、非常にまずいです。
 頭の中で一瞬でも、数字で考えることが大事です。そして、疑問に思ったり、納得できないときは、数字を詰める。
 どれだけの売上になるのか、いくらの利益を出せそうなのか。
 それを、絶対に考えなくてはならないのです。

 むしろそれをやらない人は、部下たちから人気を得るかもしれませんが、結果が出なければ人は離れていきます

「自然の法則」を乗り越える

「2:6:2の法則」を聞いたことがあるでしょうか。
 人が1ヶ所に集まって放っておくと、「優秀:平凡:無能」に分かれると言います。

 たとえば、NHKのテレビ番組「おかあさんといっしょ」を思い出してみてください。あのエンディングでは、「2:6:2の法則」が現れます。

 2割の子は、お手本通り上手に踊っています。
 6割の子は、なんとなく音楽に合わせて手足を動かして踊れているように見えます。
 2割の子は、寝転がったり他のことをしたりして、まったく踊れていません。

 これが示しているのは、集団を自然状態にしておくと、「2:6:2」になるということです。
 会社組織でも似たようなところがあり、「マネジメント不要」という組織にしてしまうと、この割合になってしまいます。

 組織マネジメントをするということは、この「2:6:2」の状態を「10:0:0」に近づけていくことです。
 改善の余地を全員に受け入れさせて、全メンバーが活躍することを目指します。
 それを実現させるのに必要なことが、上に示したような「徹底的な数字の確認」なのです。

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年7月現在で、約3000社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、36万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。