東京・渋谷にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の日本本部。元首相の安倍晋三の死をきっかけに、旧統一教会と政治家との関わりが政治問題化している東京・渋谷にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の日本本部。元首相の安倍晋三の死をきっかけに、旧統一教会と政治家との関わりが政治問題化している Photo:JIJI

 首相の岸田文雄は昨年9月の自民党総裁選以来、10月の衆院選、そして今年7月の参院選まで大きな選挙は3連勝の結果を出した。この足取りは2012年9月の総裁選で返り咲きを果たした元首相、安倍晋三と重なる。安倍と違うのは衆院選が12月だったという点だけ。7月の参院選を経て岸田も順風満帆の船出が想定された。ところが安倍が凶弾に倒れるという驚天動地の事件に遭遇し、岸田シナリオは大きく崩れ去った。安倍の突然の死は岸田に数々の難題を課した。

 まずは岸田自身が即断即決した安倍の国葬問題だ。安倍の政治的業績が定まらない中での決定に対する反対もしくは否定的な声は、今も収まる気配がない。

「産経新聞」が7月26日付朝刊で報じた世論調査でも、賛否が二分した。国葬を行うことに「よかった」と「どちらかといえばよかった」を合わせた肯定派が50.1%。「よくなかった」「どちらかといえばよくなかった」が計46.9%だった。

 立憲民主党、日本共産党など野党が反対の立場を明らかにした際の自民党幹事長、茂木敏充の発言も火に油を注いだ。