8月8日、東京・永田町の自民党本部で党臨時役員会に臨む首相の岸田文雄(中央、自民党総裁)ら8月8日、東京・永田町の自民党本部で党臨時役員会に臨む首相の岸田文雄(中央、自民党総裁)ら Photo:JIJI

 首相の岸田文雄は永田町の相場観だった「内閣改造は9月上旬」を大幅に繰り上げて8月10日に断行した。昨年の衆院選に続いて2度目の前倒しによるサプライズ。「前倒しの岸田」と呼んでもいい。岸田が一気に改造人事に向かった背景には内閣支持率の急落があった。

 中でも共同通信の世論調査(7月30、31日)は衝撃的だった。前回調査(7月11、12日)から約20日間で支持率は12.2ポイントも急落。不支持率は逆に7.1ポイント増の29.5%。自民党内では第4派閥にすぎない岸田派を率いる岸田にとって、最大の強みは内閣支持率の高さにあった。それがあっという間に下り坂となったのだ。この間に何があったのか。

 ざっくり言えば、新型コロナウイルスの第7波襲来、凶弾に倒れた元首相、安倍晋三の国葬決定、そして安倍の事件をきっかけに浮かび上がった宗教法人、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家を巡る問題の表面化だ。中でも旧統一教会と政界との実態解明については「必要がある」と、80.6%の人が回答した。

 感染拡大は直ちに減少に転じるための妙案がなく、閣議決定した国葬も今さら取りやめることはできない。結局、手を打てるとすれば旧統一教会の問題に積極的に取り組む姿勢を示す以外にない。確かに、教団の問題に対する自民党の消極的な対応は国民世論と逆行することばかり。自民党幹事長の茂木敏充の対応は自民党の「やる気のなさ」を象徴した。

「党として組織的な関係はない。関係部門に改めて指示を出して確認した」