日本企業は今後、グローバルでどう戦っていくのかを考える上で気になるのがエンジニアの不足。さらに女性の働き方だ。メルカリCEOの山田進太郎氏が個人で始めた財団は、理系の女子学生を支援する奨学金制度を打ち出している。その背景にある思いとは何か、ジャーナリスト/相模女子大学大学院特任教授の白河桃子氏と対談を通じて話してくれた。3回にわたって対談を伝える。(メルカリ CEO 山田進太郎、相模女子大学大学院特任教授 白河桃子、執筆/小川たまか、構成/宝金奏恵)
深刻な日本の女性エンジニア不足に愕然
「STEM(理系)女子奨学助成金」は、メルカリのCEOである山田進太郎氏が私財30億円を投じ、2021年に個人で立ち上げた財団による奨学金制度だ。
目的は理系を選ぶ女子学生が増え、その選択肢が「当たり前」の社会となること。成績不問で所得制限なし、応募多数の場合、抽選制で選考することが特徴だ。
山田氏がこの奨学金を始めた理由のひとつに、エンジニア不足の深刻さがある。
「お客さまの大半を占める女性に向けたサービスをより強化するために、優秀な女性エンジニアを積極的に採用しようとしたら、人材自体がとても少ないことに愕然とした」
昨年行われた第1期には合計767人がエントリー。今年7月にスタートした第2期エントリー受け付けでは、対象者を前回の「中学3年生女子」から、「高校1・2年生女子」にまで広げている。
ビジネスとは違う、非営利団体での活動を模索する山田氏の思いを、ダイバーシティ経営の専門家、相模女子大学大学院などで教壇に立つジャーナリストの白河桃子氏が聞く。
※対談は7月7日に行った。