FRB約40年ぶりの高インフレに見舞われる米国に象徴されるように、コロナ対策でMMTを地で行く財政拡張政策が続けられた。意図せざる「MMTの実験」の教訓は何か Photo:PIXTA

財政拡張で米国は約40年ぶりのインフレ
「MMT」はやはり間違った主張なのか

 日本はこの数年間、経済関係の出版の世界ではちょっとした「MMT(現代貨幣理論)ブーム」だった。

 大手Eコマースサイトで検索すると、2019年から2021年の3年間で、タイトルに「MMT」という言葉の含まれた出版物は実に20冊以上にも達する。

 しかし、本家本元の米国ではむしろこのところ、MMTの唱道者たちの存在はかなり影が薄くなってきているようだ。

 それも当然、コロナ危機下の2年間でMMTの主張を地で行くような膨大な規模の財政拡張が行われた結果、米国は40年来となる深刻なインフレに直面している。

 インフレ急伸はさまざまな供給制約やエネルギー価格急騰などの要因もあるが、大規模なコロナ対策の影響も大きく、米国では財政拡張の行き過ぎについての反省機運も出てきている。

 MMTの主張は間違いであり、しょせんはブームにすぎなかったということか。だがこの間の「MMTの壮大な実験」で見えてきた別のことがある。