「原因を特定するために、再度C君と面談する必要がありますね。その時はどう話を切り出したらいいですか?」
「現在Cさんは上司から業務レクチャーをほとんど受けていないので、普段はどんな仕事をしているのか、その確認から入っていくといいでしょう。あとは体調やメンタルヘルスの具合はどうか、ハラスメントを受けているかどうかの確認もしてください」

 そして続けた。

「管理課の他のメンバーとも面談を行い、Cさんの普段の様子で変わったことはないか、厳しい指導、いじめなどを受けていないかなどの聞き取りも行ってください」
「原因が分かった場合、その後の対処方法を教えてください」

面談結果に応じた対処をする

<面談結果による対処方法>
(1)身体やメンタルヘルスに不調がある場合は、病気の可能性も考えられるので、すぐに病院を受診してもらう。診断結果によりその後の対処を考える(例えば休職など)
(2)Cがトイレにこもる原因が職場内にある場合は、状況に合った対処を行う
参考:<メンタルヘルス対策サイト>
こころの耳 厚生労働省 https://kokoro.mhlw.go.jp/
<ハラスメント対策サイト>
あかるい職場応援団・人事担当向けページ 厚生労働省
https://xn--no-hArAssmEnt-oz3l4A5i1CyhquyotC.mhlw.go.jp/jinji/inDEx
(3)上記が原因の場合、Cは懲戒処分の対象にならないことに留意すること
(4)面談を試みてもCが理由をまったく話さない場合は、労働契約法および就業規則違反として懲戒処分などの扱いになる可能性があることを説明し、話をしてもらうように促す

単に「さぼっているだけ」の場合はどう対処する?

「問題は、C君がわざと仕事をさぼっている場合ですね。さぼりの証拠がはっきりした場合、D社長の意見通りC君をクビにすることは可能なのでしょうか?」

<甲社はCをクビにできるのか>
○ Cは甲社と労働契約を締結した際に、労働時間中は会社の業務を誠実に行う義務を当然に負う(労働契約法第3条4項)。従って個室トイレの中で長時間私的なことを行うさぼり行為は契約違反になる
○ しかし、Cのさぼりの根拠がはっきりした段階で、就業規則に明記されている場合でも直ちに懲戒処分や解雇の扱いはできない。この扱いはCが試用期間中の身分であっても同じである
○ 本件では、まず直属の上司であるB課長からCにさぼり行為を止めるように厳重注意をすることで、行為がやむ可能性が高い
○ 上司がCに数回にわたる厳重注意や具体的な指導等をしても行為を改めない場合は、最終的に懲戒処分や解雇を行うことが可能とされる