今、多くの地域金融機関には、地域の企業や産業クラスターの成長支援を行い、「資金需要そのものを創造し、喚起する」ことが求められている。それに伴い、地域金融機関の真の「地域貢献力」を数値化する研究が進んできた。しかしいったい、地域貢献力とはどう測定するのか。その手法と測定の意義について明らかにする。(共同通信編集委員 橋本卓典)
地域金融機関の「新序列」が分かる!?
「地域貢献力」という新たな指標の威力
言うまでもなく、地方銀行、信用金庫・信用組合などの地域金融機関は、地域の一企業・団体だ。自身でも地域人材を雇用し、預貸業務などを展開することによって納税している。
しかし、人口減少で持続可能性が問われる地域においては、「地域金融機関だけが栄えている」のでは地域に十分に貢献しているとはいえない。地域金融機関には「資金需要があるなら貸し出す」のではなく、「資金需要そのものを創造し、喚起する」ことが求められている。
では、地域の企業や産業クラスターの成長を支援する、地域金融機関の真の「地域貢献力」を測る術はないのか。
これが、ある。京都大学発のベンチャー企業、データ・ルーペの吉原清嗣社長(「吉」の字は正しくは上が土)が2014年に開発した独自の評価指標「i Bank index」(アイ・バンク・インデックス)だ。
吉原氏は地域金融機関に30年間勤務し、京大で博士号を取得した異色の研究者だ。金融庁や東京商工リサーチと共同で全国の地域金融機関の地域貢献力を数値化する実証実験に取り組んでいる。
次ページでは、吉原氏による地域金融機関の地域貢献力の数値化手法と、数値化の意義について明かしていこう。