コストコと業務スーパー、「値上げ時代の救世主」が競合しない事情Photo:Diamond

ついに、業務スーパーとコストコでも値上げが行われています。コストコでは3~6割値上げした商品も。「値上げがきついコストコから、値上げがマイルドな業務スーパーへと需要が流れるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、コストコと業務スーパーは実質的には競合しないのです。その理由を解説しましょう。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

業務スーパーが値上げしても庶民の救世主なのは
「もともと安すぎる」から

 相変わらず、私の自宅の近所にある業務スーパーの店頭は賑わっています。安さで人気の業務スーパーですが、実は、地味に商品の価格が値上げされています。たとえば、その安さで人気だったうどんや焼きそばの麺は、去年は1玉21円(税込み、以下同じ)だったものが今では22円。私の事務所で使っているアラビカ種100%のリッチブレンドコーヒー豆は、430円だったのが497円という具合です。

 世の中は値上げラッシュで、その品目を並べると肉製品に食用油、海産物、小麦製品という具合です。考えてみれば業務スーパーで売られている製品は、みんなこの一年間に価格が上昇した製品ばかりです。にもかかわらず、体感で言えば業務スーパーは今でも安い。なぜか。ここが救世主としてのポイントです。

 その秘密は、もともと安すぎるからです。冒頭に紹介したうどん1玉の価格の上げ幅は、計算してみると5%の値上げです。でも値上げ後の価格が22円だと思うと、相変わらず消費者から見ればびっくりの激安価格です。一方で面白いと思うのは、業務スーパーが行っている値上げは十分に利幅を取っている点です。