マクドナルドはドミナント戦略でも
McCafé by Baristaは「逆」ドミナント戦略?

 これは、外食産業におけるドミナント戦略の逆を行くやり方です。同じエリアにどんどん出店してその存在感を高めていくのと逆で、マクドナルド自体はドミナントでもMcCafé by Baristaは点在していて、しかも郊外や地方都市に多いのです。

 先ほどお話ししたとおり、こういったことに関して日本マクドナルドは本当の戦略をあまり語ることはしません。ただ、戦略コンサルタントというプロの視点で見ると、この戦略は実に面白いと思います。簡単に言えば「スタバと競合しにくい場所で先に勢力を拡大しよう」という考え方だと思えるのです。

 知人が口にした「ちょっと安いスタバ」という表現は、実はひょっとするとMcCafé by Baristaの出店戦略の本質をついているのかもしれません。

 価格がちょっと安いため、特に地方都市の消費者から見ればリピートしやすい。それで繰り返し来店するうちに居心地の良さを感じるようになる。

 昼や夜に食事に来る場所としてのマクドナルドではなく、午後のひととき、勉強に来たりリモートワークを処理しに来たりする場所としてのMcCafé by Baristaは、別の居場所と感じるようになるわけです。

 コロナ禍でリモートワークが劇的に広がった今、実は都心に住んでいると気づかない、面白い逆転現象が外食産業で起き始めているかもしれない。そんなことを感じさせるMcCafé by Baristaの出店戦略です。

 McCafé by Baristaが日本でどこまで広がるか、この先も興味をもって観察していきたいと個人的には思っています。