今回の北米電動化戦略におけるLGESとの合弁電池生産の狙いは、北米における米ゼネラル・モーターズ(GM)との戦略提携を前提とした、バッテリーの確保と調達リスク分散だ。

 ホンダとGMは燃料電池システムや自動運転分野の共同開発、さらに次世代EVの開発から車台の共通化にまで踏み込むなど、北米四輪事業での提携を拡大してきている。

 そのGMは、かねてEVの電池調達で韓国LGと連携しており、LGESとGMの合弁事業「ウルティウム・セルズ」に対しては、米エネルギー省が新工場建設資金25億ドル(約3400億円)の融資を保証すると7月末に発表したばかりだ。

 ウルティウムはオハイオ州、テネシー州、ミシガン州の3カ所でEV向けリチウムイオン電池工場新設を計画している。このEV電池への融資保証は、インフラ投資を重視するバイデン米政権が打ち出した政策で、電池専門工場を対象とした案件は初めてという。

 また、GMとLGESは「アルティウム電池」を共同開発しており、ホンダはこのアルティウム電池を搭載したEVをホンダブランドとアキュラブランドの2車種で北米向けに発売する計画もある。当然、ホンダがLGESとの共同出資で米国電池工場進出を決めたのは、GMからのアドバイスもあっただろう。

 すでにホンダは、30年に他のモデルも含め、北米では生産の半数にあたる80万台をEVにする方針を打ち出している。GMとの連携調達に加えて、今回の合弁新工場で北米生産分の電池確保に一定のめどをつけたということになる。