(1)「はい」「さようでございますか」
ストレートに相手の話に同調するときに使います。あいづちの基本形といってもいいでしょう。声のトーンによって、さまざまなニュアンスを伝えることができます。

(2)「ごもっともです」「おっしゃるとおりです」
やや強めに相手の意見に同調するときに使います。ただし、あまり頻発すると嫌味に聞こえることがあるので注意します。

(3)「そうなんですか」「そんなことがあったんですか」
感嘆を込めて相手の話に同調するときに使います。ただし、これも過剰に使うと、かえって不快感を与えることがあるので注意します。

あいづちを打ちながら傾聴している間、相手の理不尽な要求に思わずD言葉が口から出そうになったら、頭の中でS言葉に置き換えます。あいづちからS言葉につないでいけば、相手の興奮は徐々に収まり、会話がスムーズに流れるようになるでしょう。

こうしたテクニックは、経験を重ねれば誰でも身につきます。セリフを丸暗記しなくても、あいづちやS言葉のフレーズを準備しておけば、いざというときに使えます。

しかし不慣れな人は、まだ不安が残るでしょう。そこで、もう1つの覚え方を伝授します。

「サ行のほめ言葉」をご存じですか?

•「さすがですね」
•「知らなかった」
•「すごいですね」
•「センスがいいですね」
•「そうなんですね!」

こんなふうにあいづちを打たれれば、悪い気になる人は多くないでしょう。クレーム対応でも、「さしすせそ」でキラーフレーズを覚えておくのが有効です。

さ:「さようでございますか」
し:「失礼いたしました」「承知いたしました」
す:「すみません」
せ:「……」
そ:「そうなんですか」

「せ」が抜けていますが、じつはここが最も重要です。声には出さなくとも、クレームから逃げずに「責任をもって、私が対応します」という意識をつねにもっておくことです。

初期対応での「6つの禁句」

D言葉のほかにも、相手の怒りを再燃させる「不用意なひと言」が6つあります。

その代表例が「会社の規定で」「会社の方針で」「事務処理上」といった表現です。これらは、こちらの都合を一方的に押しつけているように解釈されることがあります。

また、「普通は」「一般的に」「基本的には」という言葉も、使い方によっては「上から目線」の印象を与えかねません。

たとえば「普通は、そのようなトラブルが起きないはずなんですが……」と言われた身としては、「じゃあ、オレは普通じゃないのか!」と、カチンとくるわけです。初期対応では、こうした相手を不快にさせる言葉に十分注意してください。

ただし、過剰要求を繰り返す悪質なクレーマーに対しては、その限りではありません。丁寧な言葉づかいをしながらも、ドライに言い切ることが必要です。

最初の5分間は徹底的に演じ切れ

初期対応は、最初の5分間が勝負です。5分間というと、ずいぶん短く思うかもしれませんが、相手の怒気を帯びた声を聞いていると、結構長く感じるものです。

しかし、決して気を緩めてはいけません。クレームの初期対応は、比較的マニュアル化しやすいように考えられがちですが、油断すると思わぬ失敗をおかします。

「受話器を置く前に、フッとため息をついてしまった」

特にクレーム電話への対応では、そうしたことが起こりがちです。一瞬の気の緩みから話がこじれてしまうことがよくあるのです。

電話は声だけのコミュニケーションであるため、「声が小さい」「早口だ」と文句を言われることもあります。また、相手の大声につられて自分の声にも力が入ってしまい、いつの間にか論争になってしまうケースもあります。

クレーマーの自宅を訪問した際にも、「顔がニヤけている」「お辞儀の角度が悪い」「名刺の出し方が無礼だ」などと叱られることがあります。

言いがかりに近いことも少なくありませんが、初期対応では「演じ切る」ことが大切です。上辺だけの猿芝居ではなく、本気でひと芝居打つ覚悟が必要なのです。

『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』では、対面・メールでの正しい対応法、ネット炎上を鎮火させる方法など、クレーマーの終わりなき要求を断ち切る23の技術を余すところなく紹介しています。

ぜひ使い倒していただき、万全の危機管理体制を整えた上で「顧客満足」を追求してください。

(参考記事)
クレーマーの長電話を強制終了する
シャットアウトフレーズ“3連コンボ”