写真:住宅ローン,模型,家写真はイメージです Photo:PIXTA

COP26とIPCCが相次ぎ
地球温暖化が危機的状況と表明

 温室効果ガスの排出を抑制しこれ以上の地球温暖化を防ぐこと、これが現在の世界的命題となっている。

 2021年10月31日から2週間、英国グラスゴーで気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催され、2016年に発効したパリ協定(日本は2017年11月締結)における“1.5℃努力目標”達成に向けてその経過点である2030年までに“野心的な気候変動対策”を条約締結国に求めることが決まった。

 この決定と前後して、日本でも2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)すること、併せて50%削減を目指すことを、当時の菅政権が正式表明している。

 また、1988年に設立された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2021年8月9日に第6次評価報告書(AR6)を発表し、“人類が少なくとも過去2000年間に前例のない速度で気候を温暖化させてきた”こと、“CO2累積排出が1t増えるたびに地球温暖化が進行”していることなどを指摘、温室効果ガスの排出量を削減するために迅速で大規模な行動を速やかに実施すべきだとの警鐘を鳴らした。

 そして、21世紀を通じて温暖化を2℃未満に維持できる可能性を高めるには、世界全体の人為起源の温室効果ガス排出量が2050年までに2010年と比べて40%~70%削減され、2100年には排出水準がほぼゼロまたはそれ以下にしなければならないとも指摘している。

 これを受けて、国連や各国政府は非常事態との認識を相次いで表明しており、地球温暖化をこれ以上進行させないことが極めて重要で、まさに待ったなしの状況であるとの認識を示している。

 論旨とは外れるが、ロシアのウクライナ侵攻は、大量の兵器を使用して多くの施設とその周辺の環境を破壊して尊い人命を奪うだけでなく、世界的にエネルギーおよび食糧のサプライチェーンを戦争行為によって人為的に脆弱(ぜいじゃく)化させているという点において、地球温暖化の抑制・防止に逆行する暴挙・愚挙であると言わざるを得ない。

 また、アメリカ資産運用最大手のブラックロックは、化石燃料からの移行期間が必要であることやウクライナ侵攻によるエネルギーコストの高騰などを理由として、気候変動に関する2022年の株主提案のほとんどを支持しないと表明しており、各国のエネルギー政策や企業のグリーン投資行動にも影響を与える可能性が出てきている。

 地球温暖化対策およびカーボンニュートラル達成に向けての課題解決には世界的に足並みをそろえる必要があるが、アメリカ最大手の投資会社の態度がこれでは、目標達成に向けてのハードルが極めて高いことを意識せざるを得ない(これもロシアのウクライナ侵攻に起因する影響と言える)。