なぜなら、この質問で子どもは、学校に行けない理由を次から次へと探し出し、自分や相手を責め、自信を失い、孤独と無力感でいっぱいになり、何もする気がなくなるからです。

 一方、子どもが希望を持ち、自分で考え、答えを見つけ出し、行動できるようになる質問もあります。そう、質問ひとつで、天国と地獄、正反対の結果になるのです。

 決して大げさに言ってるわけではありません。あなたが子どもに投げかける質問は、それだけ大きな影響力があるのです。

ひきこもってしまうとき、子どもは何を考えているのか?

 実際に相談のあったケースを見てみましょう。

 夏休み明けから不登校が始まった、高校1年生の男子生徒の話です。

 ある日突然、部屋に閉じこもってしまい、親とは顔も合わせず、声をかけても返事なし。そんな状況が、1年3カ月も続きました。本人が「辞めたい」と言い出し、担任の先生とも相談の上、退学することになりました。学校を辞めた後もひきこもり状態が続き、そこで、悩んだお母さんが相談にみえました。

 こうなった子どもにどう接するか考える前に、「なぜ、ひきこもるしかないのか?」を考えてみましょう。理由はさまざまですが、根っこには「傷つきたくない」という気持ちがあるはずです。子どもは、自分が傷つかずにいられる場所は、自分の部屋だけだと感じているのです。

 孤独と恐怖で、心がとても疲れている、そんな状態のときに、「ゲームばかりで夜ふかしするから朝起きられないのよ!」「お母さんの言うこと聞かないからこんなことになるのよ!」(どちらも、過去の失敗を責める言葉)、「学校に行ってくれさえすれば私は幸せなのに……」(今の状態を責める言葉)、「このままで、将来どうするの?」(子どもの未来を心配する言葉)、「どうして学校行かないの?」「いつになったら学校行くの?」(子どもが答えられない質問)

 こうした言葉を、不用意に投げかけていませんか?