若者だけでなく、中高年にも人気

 さらに取材してみると、明菜に夢中になっているのはZ世代の若者だけでなく、中高年の男女のファンも多いことが分かった。

 前述の、NHKで放送された伝説のコンサートについて、中国のSNSに投稿していた中国に住む50代の女性に連絡を取ってみると、彼女が明菜に夢中になったのは、自身が日本留学をしていた90年代前半のこと。明菜の存在を知ったのは、それ以前、香港の歌手が明菜の曲をカバーしていたことがきっかけだったという。

「当時、香港の歌手が好きでよく聞いていましたが、彼らがカバーしていた中に明菜さんの歌がありました。メロディーがすてきだったので鼻歌で歌うようになり、次第に明菜さんのファンにもなりました。日本語のカラオケで歌えるようになったときはうれしかったですね。私と同じような経緯で明菜さんのファンになった中高年の中国人は多いと思います。もちろん、うちの20代の娘も明菜さんのファンです」(中国の50代の女性)

 彼女のような50代の女性であれば、中国でかつて放送された日本のドラマ『赤い疑惑』で主演した山口百恵のブームもリアルで知っている世代だが、国民的アイドルだった百恵が引退し、違う雰囲気を持つ明菜や松田聖子、酒井法子のファンになった人も少なくなかったという。