保険ラボ

住友生命傘下のアイアル少短
「熱中症保険」で大ヒット

 少額短期保険市場にはここ数年、相次いで大手生命保険・損害保険各社が参入している。

 少短の商品は保険金が1000万円以下、保険期間は1~2年の、文字通り「少額」で「短期」の保険だ。それ故に、通常の生損保商品と違い、財務局への届け出でだけで新商品を市場に投入できるだけでなく、契約管理などのシステムも低コストで構築できる。

 大手生損保はこうした少短の規制を最大限に生かし、新しい商品コンセプトを実験する場や、あるいは若年層向けの商品を試してみるなど、大手の重厚な商品ではアプローチができなかった新たな顧客層への接点として活用しようとている。

 こうした少短の“活用法”に最初に気付いたのは住友生命保険だった。そこで2019年8月に、商品開発力に定評のあるアイアル少額短期保険を買収している。

 もっとも目論見がすぐに実現するほど、少短市場は甘くはなかった。各社が投入した新型コロナ保険は契約件数を伸ばしたが、いわゆるみなし入院の激増によって売り止めになるなどゴタゴタに巻き込まれた。また、その他にも大手生損保傘下の少短の中から、特筆するような大ヒット商品や成果を上げた事例は生まれていない。

 ところが22年夏、アイアル少短と住友生命保険、ペイペイの3社が組んで発売した「熱中症お見舞い金保険」が3カ月で5万件の契約を獲得する大ヒットを記録。少短らしい保険が大ヒットしたことから、保険業界で注目を集めている。

 そこで次ページ以降では、アイアル少短の安藤克行社長にこの保険の成功の要因について話を聞いた。

住友生命とアイアル、ペイペイ
それぞれが果たした役割とは?

――アイアル少額短期保険と住友生命保険、ペイペイの3社が組んで発売した「熱中症お見舞い金保険」は少短業界内で稀に見るヒットとなりました。成功の要因をどのように分析していますか。