“スタートアップに投資し育成する”アクセラレーターは米国では既に数多く立ち上がっているが、その中でもYコンビネーターと並ぶ老舗アクセレーターの雄がTechStarsだ。
TechStarsは、各都市毎に10社程度のスタートアップを招いて、事業が立ち上がるまでのさまざまなサポートを提供し、比較的少額の出資をする。――ということで、他のアクセラレーターと比べて一見その活動に大差はないように見える。では、何がTechStarsを際立たせた存在にしているのか?
今回は、日本のメディアにほとんど登場したことのない元TechStars NYの共同創設者で、現在はTechStarsと活動を共にしながら自らのエンジェルファンド、BoxGroupを率いるDavid Tisch氏と、同じく元TechStars NYにてディレクターをつとめた後、現在はBoxGroupのディレクターをつとめているAdam Rothenbergにインタビュー。彼らの投資哲学と日本のスタートアップに関する考察を聞いてみた。
TechStars最大の特徴は、
都市密着と外部メンターの活用
岡本 TechStarsはアメリカで今や最も有名なアクセラレータープログラムだが、日本でも有名なアクセラレーターのYコンビネーターや500 Startupsとはどういったところが異なるのか?
David Tisch TechStarsのプログラムはスタートアップからの応募を受けて、1回につき約10社をセレクトして、アクセラレータープログラムに参加してもらっている。これらのプログラムは、ボストン、ニューヨーク、シアトル、コロラド州ボールダー、オレゴン州ポートランド、テキサス州サンアントニオの6つの都市で開催しているんだが、そのうちシアトルではマイクロソフトがサポートしてくれているんだ。
岡本 10社というのは少ないね。
David そこがTechStarsが他と最も違うところだ。そしてもう一つの大きな違いはメンターシップにフォーカスしていること。
僕らのメンターシップは、他のアクセラレーターと違って、スタートアップ支援プログラムを開催する都市毎に、スタートアップをバックアップするシステムが完結するよう設計されているんだ。
だから、僕らはその街を細かく調べて、その街にいるビジネスリーダーや成功した起業家たちを見つけ出し、彼らに企業への支援を頼むんだ。このメンターシップは、プログラムへの参加がたった10社だけというサイズ感同様、TechStarsを他のプログラムと差別化していると思う。
岡本 500 StartupsもYコンビネーターも、同様にメンターシップに力を入れているから、もう少し詳しく違いを教えてほしい。