他人とのコミュニケーションは、気を遣うし疲れます。
けれどなるべくラクに、自分らしく、たのしく会話したいもの。そして良い印象も与えたい! ですよね。
この連載では、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんが「自然体のまま」で「相手も自分も大切にするコミュニケーション」のコツをご紹介します。

謝ってるのに、「本当に悪いと思ってる!?」と無駄に怒らせてしまう人の口癖Photo: Adobe Stock

こんな口グセが、火に油を注ぐ!

 口論やちょっとしたケンカなど、「言いすぎて悪かったな…」と思ったら、何と伝えますか?

 たとえば、

「ごめん。ごめん」
「悪かったって」

 と言っていませんか?

 決して間違いではありませんが、なんとなく軽い印象を与えます。「本当に悪いと思ってる!?」「全然反省してない!」と火に油を注ぐ場合も。

 代わりに、

「さっきは言いすぎて、ごめんなさい」

 と伝えましょう。条件反射のようにすぐに「ごめんね」と謝ると、反省の色が見えにくい場合もあります。クールダウンしてから、具体的に謝りましょう。こう伝えると「うん。私も言いすぎたみたい」と相手も素直になれます。

「感情」にもフォローの一言を

 もし相手が大切な存在である場合、

「あなたのことが大切だから、つい熱くなってごめんなさい」

 と伝えるのもいいですね。単純に相手を非難したのではなく、「あなたが大切だから」という気持ちがあってヒートアップしたことを、きちんと言葉にして伝えましょう。

「イヤな気持ちにさせて、ごめんなさい」

 このように、ケンカの原因について謝るだけでなく、相手の感情、気持ちに向けたひと言も大切です。

ときには「物」を使って関係修復しても

 不器用でなかなか素直に伝えられない人は、「ごめんね」の気持ちを物に託してみてはいかがでしょうか。

 たとえば恋人同士や夫婦で、夕食時に発泡酒を飲む習慣がある場合、ケンカをした日の晩酌はビールにグレードアップして、「ごめんね」と「好き」のメッセージを込める。友だち同士ならかわいいお菓子などのプレゼントを渡す……なんていうのも素敵ですね。

ケンカを終える時の一言

 口論やケンカが一段落したら、こんな一言で締めましょう。

「ちゃんと話せてよかった、ありがとう」

「お腹減らない? どこか食べに行こうよ」

「外の空気、吸ってくるね」

 仲直りできたことの感謝を伝えた後は、「何か口に入れる」「外に出てクールダウンする」ことで気持ちが切り替えやすくなりますよ。

ケンカはポジティブな言葉で締める

「◯◯君のこと好きなのに言い過ぎちゃった、ごめんね」「◯◯さんのことを信頼しているから、つい言いすぎてしまいました」というように、ケンカを終えるときは、相手に対するポジティブな気持ちを添えましょう。大切な存在だからこそケンカになってしまうことが相手に伝わります。ふだんなかなか言えない言葉も伝えられて一石二鳥です。

『オトナ女子のすてきな語彙力帳』では、無理なく自然体でできるコミュニケーションのヒントをたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
(本記事は『オトナ女子のすてきな語彙力帳』をもとに編集しています)