このうちPHEVはマツダ初となる車種だが、22年3月に欧州で「CX-60 PHEV」をワールドプレミアし、欧州市場に先行投入している。EUのCAFE(企業別平均燃費)規制をクリアするためにPHEVモデルを展開すると同時に、独BMWや独メルセデス・ベンツなどドイツ勢が強いプレミアムSUV市場で対抗することが狙いだ。

 一方、9月15日から日本市場で販売開始したCX-60は、まずクリーンディーゼルを搭載したM-HEVモデルからの発売だ。3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンに48Vマイルドハイブリッドを搭載した大排気量によるトルク向上と燃焼改善は、筆者も試乗して実感したところだ。その他モデルは12月以降の販売開始を予定している。

 生産は山口県・防府第2工場で行われ、国内での販売計画は月販2000台を計画している。

 マツダによると、CX-60の予約受注は6月24日から開始しているが、約2カ月半で月販計画台数の4倍を超える8726台を受注している。この予約受注のうち、8割がハイブリッドとエンジン単体を合わせたディーゼルエンジン搭載車を選択しているといい、全体の生産調整が続く中で、これに照準を合わせた販売戦略を進めていくとしている。

 国内販売担当は「量販車のCX-5からのステップアップをお求めのお客さまに選んでいただく。輸入者検討層・購入層の新たな選択肢となる。『人間中心』というマツダの開発哲学に基づく価値に、さらに磨きをかけることを訴えていく」と、マツダの30年ぶりのプレミアム市場への再参入へ意気込みを見せるとともに、販売会社とともにブランド価値向上に結び付けていくことも強調した。